SaraFluor™ Structural Imaging Series

SaraFluor 497 actin probe

[アクチン染色用蛍光プローブ]

495-540 nm:緑色

SaraFluor™ 497 actin probe はアクチン繊維 (F-actin) に特異的に結合し、生細胞や固定細胞でのアクチン線維を緑色に蛍光染色して可視化できる蛍光プローブです。膜透過性が高い有機小分子プローブのため、細胞の培地等に添加するだけで、洗浄不要で容易に細胞内のアクチン繊維を蛍光観察できます。本製品はファロイジン (phalloidin) やジャスプラキノライド (jasplakinolide) と共通の結合サイトを介して F-アクチンに結合すると考えられますが、生細胞にも使用可能です。

 

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
AR5601-N5 SaraFluor™ 497 actin probe 30 nmol × 5 ¥ 39,800

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    SaraFluor 497 actin probe の物性

    名称 検出対象 膜透過性 Absmax (nm) FLmax (nm) ε Φ
    SaraFluor 497 actin probe F-actin あり 497 519 n.d. 0.78

     

    スペクトル

     

    SaraFluor 497 actin probe の反応時間

    細胞に使用する場合、試薬を培地に添加するだけです。ほとんどの場合、試薬添加後 10分以内に充分染色されます。

     

    上図は培養中の HeLa 細胞の DMEM 培地中に 終濃度 100 nM となるように SaraFluor 497 actin probe を添加し、染色過程を蛍光顕微鏡で観察したもの(励起 460-500 nm, 蛍光 512-542 nm)。上記例では5分間でほぼ完全に染色されました。

    本製品はアクチンに結合して蛍光が ON となる ON-OFF 型のプローブではありません。そのため、培地中の未結合の試薬による背景蛍光は画像処理で除去してください。背景蛍光を除去するには、顕微鏡の画像処理(オフセット調整)等で背景を差し引いてください。(例えば ImageJ の場合は Image → Adjust → Brightness/Contrast メニューで B&C パネルを表示し、Minimum を大きくすることで、背景光を除去することができます。)背景蛍光を除くために培地交換などで未反応の試薬を洗浄することは推奨しません。アクチンに結合した試薬と溶液中の未結合の試薬は平衡になっており、細胞外の試薬を除くとアクチンに結合したプローブも一部が解離し、シグナルが弱くなるためです。

     

    細胞の形態への影響

    この試薬を生細胞に添加すると、細胞が収縮することがあります。細胞の形態を厳密に解析したいときは、できるだけ低濃度で使用するか、または固定後に染色してください。

    HEK293 細胞に各濃度の SaraFluor 497 actin probe を添加後、15 分間の細胞のサイズ変化を明視野像から解析した。添加直後の細胞または細胞塊の面積を 1.0 とし、各細胞の面積の時間変化を求めた。DMSO 終濃度は 0.1%。N = 5, エラーバーは標準偏差を示す。10 nM ではサイズ変化は認められなかったが、100 nM では 15 分間で平均約 40% の収縮が観察された。

  • SaraFluor 497 actin probe によるイメージング例

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    蛍光ファロイジンとの2重染色

    HEK293 細胞を固定し、蛍光ファロイジンと2重染色しました。両者は完全に一致しています。

    HEK293 細胞を 4% PFA を添加した PBS(+) で 37℃ 15 分間固定し、0.5% Triton X-100 で5分間膜透過処理後に 100 nM 蛍光ファロイジン (Acti-stain 555, Cytoskeleton) で室温 30分間染色後、100 nM の SaraFluor 497 actin probe を加えた PBS に置換し、蛍光観察した。SaraFluor 497 actin probe (緑の疑似カラー) は 460-500 nm で励起し、512-542 nm の蛍光を観察。phalloidin (蛍光ファロイジン, マゼンタの疑似カラー)は 530-560 nm で励起し、572-648 nm の蛍光を観察したもの。overlay は前記2つを重ね合わせたもの。

    さまざまな培養細胞株でのアクチン染色例

    ヒト由来の HeLa, HEK 293 細胞のほか、マウスマクロファージ由来の RAW264.7、ラット好塩基球性白血病細胞である RBL-2H3 に 100 nM の SaraFluor 497 actin probe を添加し、アクチンが染色されることを確認しました。

     

    超解像ライブイメージング例

    HeLa 細胞の培地に 100 nM の SaraFluor 497 actin probe を添加し、連続撮影した像を SRRF により超解像化しました。

    SRRF については以下の論文をご参照ください。

    Gustafsson, N., Culley, S., Ashdown, G. et al. (2016) Fast live-cell conventional fluorophore nanoscopy with ImageJ through super-resolution radial fluctuations. Nat Commun 7, 12471. DOI: 10.1038/ncomms12471

よくあるご質問

  • Q SaraFluor 497 actin probe を酵母や植物細胞に使用できますか?
    A

    SaraFluor 497 actin probe で出芽酵母の生細胞または固定細胞の染色を試みましたが、明瞭な染色は得られませんでした。染色方法の改善により染色できる可能性もありますが、酵母アクチンとのアフィニティーが弱い可能性も考えられますので、今のところ使用はお勧めしておりません。また、菌類や植物細胞に適用した例はまだ報告されておりません。

  • Q SaraFluor 497 actin probe 添加すると、細胞が剥がれてしまいます。対策を教えてください。
    A

    SaraFluor 497 actin probe の添加により、細胞が収縮し、剥がれやすくなることがあります。剥がれやすい細胞の場合は、あらかじめディッシュをコラーゲンやポリリジンでコーティングしたものに細胞を撒いてください。また、細胞によっては DMSO の添加でも細胞が収縮することがあります。できるだけ純度の高い新しい DMSO を使用し、DMSO の最終濃度が 0.1% 以下となるように希釈・添加を行ってください。

  • Q やはり問題が解決しません。
    A

    解決しない場合、製品に関するお問い合わせフォームをご利用ください。

参考文献

T. Takagi, T. Ueno, K. Ikawa ,D. Asanuma, Y. Nomura, S. Uno, T. Komatsu, M. Kamiya, K. Hanaoka, C. Okimura, Y. Iwadate, K. Hirose, T. Nagano, K. Sugimura, Y. Urano (2021)
Sci. Adv. 7, eabg8585 DOI: 10.1126/sciadv.abg8585

*文献中では HMRef  として参照されています。