MetalloFluor™ Series

FerroFarRed™

[遊離鉄 (II) イオン検出用蛍光プローブ]

650-750 nm:深赤色

FerroFarRed は SiRhoNox-1, ER-SiRhoNox としても知られる、遊離鉄 (II) イオン (Fe2+ )を特異的に検出する深赤色蛍光プローブです。 鉄 (III) イオン (Fe3+) や鉄以外の2価の金属イオンでは蛍光強度は増加しません。FerroFarRed は高い細胞膜透過性があり、反応後は細胞内にとどまるため、ライブセルイメージングに使用できます。FerroFarRed は主に ER に局在します。さらに、赤色レーザーが搭載されているフローサイトメーターでも使用できます。

 

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(円)
GC903-01 FerroFarRed™ 50 nmol × 5 ¥ 49,800

各種ダウンロード

  • プロトコル

  • SDS

  • 製品情報

    印刷する

    FerroFarRedの物性

    名称 検出対象   膜透過性 蛍光化  Absmax (nm)  FLmax (nm)
    FerroFarRed 遊離鉄 (Fe2+ あり 不可逆 646 662

    遊離した鉄 (II) イオン (Fe2+) を特異的に検出する蛍光プローブです。鉄 (III) イオン (Fe3+) や鉄以外の2価の金属イオンでは蛍光強度は増加しません。

     

    反応原理

    FerroFarRed は青色、無蛍光の物質ですが、Fe2+と反応すると還元され、深赤色の蛍光物質へ非可逆的に変化します。

     

    吸収・蛍光スペクトル

    FerroFarRed の吸収および 蛍光スペクトル

    Fe2+ との反応により、662 nm を最大とする蛍光強度が 25 倍程度増大します。

     

    細胞毒性

    一般的な使用濃度の20倍 (100 μM) でも細胞毒性が見られません。

    CCK-8 assay で測定した FerroFarRed の濃度ごとの HeLa 細胞の代謝活性

    各濃度の FerroFarRed を培地(コソルベントとして0.1 % Dimethyl sulfoxide (DMSO) を含む)に添加しました。 3 時間反応させてから洗浄し、その24 時間後の代謝活性を CCK-8 assay により測定しました (n = 3; ±S. D.)。100 μM でも細胞の代謝活性に影響するような毒性は観察されませんでした。

  • FerroFarRed の反応特性

    印刷する

    FerroFarRed の反応特性

    金属イオン反応特異性

    Fe2+ 存在下でのみ、FerroFarRed の顕著な蛍光増大が起こります。

    さまざまな金属イオンに対する FerroFarRed の反応性。Fe2+ と反応したときの蛍光強度を 1.0 としたときの相対蛍光強度。

    測定条件

    5 μM FerroFarRed を溶解した HEPES buffer (0.05 M, pH 7.4, コソルベントとして 0.1 % DMSO を含む) に、各金属イオン (Na+, K+, Ca2+, Mg2+ は1 mM, その他は 20 μM) を添加。37 oC で 60 分反応後に蛍光強度を測定。
    励起波長 630 nm, 測定波長 665 nm の蛍光強度をマイクロプレートリーダー (TECAN infinite M200Pro) にて計測。

     

    反応速度

    5 μM FerroFarRed に 100 µM Fe(SO4)2(NH4)2  を添加後の、蛍光強度の経時変化

    5 μM FerroFarRed を溶解した HEPES buffer (0.05 M, pH 7.4, コソルベントとして 0.1 % DMSOを含む) に 100 µM Fe(SO4)2(NH4)2を添加。
    得られた溶液の蛍光強度の経時変化をマイクロプレートリーダー (TECAN infinite M200Pro) で 30 秒ごとに測定。励起波長 630 nm, 測定波長 665 nm, n = 3 ± S.D.

    反応は迅速で、この条件ではおよそ 10 分で蛍光がピークとなりました。

  • FerroFarRed を用いたイメージング、測定例

    印刷する

    FerroFarRed を用いたイメージング、測定例

    蛍光顕微鏡による細胞イメージング例

    コントロール(-Fe2+)と比較して、培地中に鉄を添加し Fe2+ を取り込ませた細胞(+Fe2+)では蛍光の増大が観察されました。一方鉄を添加した上で鉄のキレート剤を加えると蛍光はほとんど観察されなくなりました。(+Fe2+ +Bpy)

    Fe2+ 添加なし(左図)、Fe2+ 添加(中央図)、Fe2+ およびキレート剤を添加(右図)における HeLa 細胞の FerroFarRed によるライブセルイメージング。HeLa 細胞を 5 μM FerroFarRed を含む無血清培地で1 時間培養し、蛍光像を取得しました。Fe2+ の取り込みは、あらかじめ 100 μMの Fe(SO4)2(NH4)2 を含む無血清培地中で HeLa 細胞を 30 分間培養し、細胞を HBSS で洗浄して細胞外の Fe2+ を取り除くことで実施しました。また、FerroFarRed と同時に鉄のキレート剤として 1 mM Bpy (2,2′-Bipyridyl) を加えることで、その効果を観察しました。画像は蛍光像と DIC の重ね合わせで、マゼンダの疑似カラーは、ex. 590-650 nm,  em. 660-740 nm で撮影した FerroFarRed の蛍光像、グレーの疑似カラーは DIC 画像を示しています。

     

    FerroFarRed の細胞内局在

     HeLa 細胞に FerroFarRed(左:マゼンタ)を反応させるとともに ER Tracker(緑)との共局在を示しました。FerroFarRed は、主にERに局在すると考えられます。

     

    フローサイトメーターでの測定例

    赤色レーザーが搭載されているフローサイトメーターでは、FerroFarRed を用いて Fe2+ の変化を測定することができます。フローサイトメーターでもライブセルイメージングと同様の結果を得ることができます。

     

    FerroFarRed と反応させた HepG2 細胞の解析結果。それぞれの分布は Fe2+ 添加なし(黒破線)、Fe2+ 添加(赤実線)、Fe2+ およびキレート剤添加(青点線)を示します。 HepG2 細胞を 5 μM FerroFarRed を含む無血清培地で 1 時間培養したのちフローサイトメトリーを実施しました。Fe2+ の取り込みは、あらかじめ 100 μMの Fe(SO4)2(NH4)2 を含む無血清培地中で HepG2 細胞を 30 分間培養し、細胞を HBSS で洗浄して細胞外の Fe2+ を取り除くことで実施しました。また、FerroFarRedと同時に鉄のキレート剤として 1 mM Bpy (2,2′-Bipyridyl) を加えることでその効果を観察しました。 640 nmレーザーを使用して励起し、蛍光フィルターは APC (Allophycocyanin) 用を使用して測定しました。

よくあるご質問

  • Q このプローブはゴルジ(またはER)の Fe2+ のみを検出するのですか?
    A

    プローブは ER や Golgi に局在することが知られていますが、このプローブが検出する Fe2+ は細胞質の Fe2+ も反映しているのではないかと考えられています。ただし、これをきちんと検証した報告はありません

     

  • Q 二価鉄検出プローブはどれを選んだら良いですか?
    A

    イメージング用の第一選択としては FerroOrange をおすすめします。フローサイトメトリー用には(お使いの機器によりますが)レーザー波長と合わせやすい FerroFarRed が第一選択となるかと思います。(グリーンレーザー搭載の場合は FerroOrange の方が良いかもしれません。)

    感度は FerroOrange > FerroFarRed > FeRhoNox-1 となります。
    FeRhoNox-1 は論文実績が豊富にあるため、既存の報告を確実に再現させたい場合に最適です。

  • Q Q&A を見ても問題が解決しません
    A

    蛍光色素一般に関する Q&A も参照してください

参考文献

Z.Li, L. Jiang, S. H. Chew, T. Hirayama, Y. Sekido, S. Toyokuni (2019) Redox Biol. 26: 101297 DOI: 10.1016/j.redox.2019.101297

D. Cui, M. Arima, T. Hirayama, E. Ikeda (2019)
Exp. Cell Res. 379 : 166-171 DOI: 10.1016/j.yexcr.2019.04.003.

K. Sato, L. Shi, F. Ito, Y. Ohara, Y. Motooka, H. Tanaka, M. Mizuno, M. Hori, T. Hirayama, H. Hibi, S. Toyokuni (2019)
J. Clin. Biochem. Nutr. 65 : 8-15 DOI : 10.3164/jcbn.18-91

T. Hirayama, A. Miki, H. Nagasawa (2018) Metallomics. in press DOI: 10.1039/c8mt00212f

K. Sakamoto, T. Suzuki, K. Takahashi, T. Koguchi, T. Hirayama, A. Mori, T. Nakahara, H. Nagasawa, K. Ishii (2018) Exp. Eye Res. 171: 30-36 DOI: 10.1016/j.exer.2018.03.008

T. Hirayama, H. Tsuboi, M. Niwa, A. Miki, S. Kadota, Y. Ikeshita, K. Okuda, H. Nagasawa (2017) Chem. Sci. 8: 4858-4866 DOI: 10.1039/c6sc05457a