GlycoFluor™ Series

GlycoYELLOW™ –βGal

[β-ガラクトシダーゼ活性検出用蛍光基質]

540-570 nm:黄色

GlycoYELLOW-βGal は、β-ガラクトシダーゼ検出用の蛍光基質です。β-ガラクトシダーゼで分解される前はほとんど蛍光がなく、分解後に強い蛍光が検出されます。lacZ レポーター遺伝子を導入した細胞や組織の蛍光観察、選別のほか、細胞老化によって活性化する SA-β-Gal の検出にも使用できます。

 

GlycoYELLOW-βGalは Merck KGaA (Darmstadt, Germany) からも全世界にて
SCT024 BioTracker™ 543 Yellow β-Gal Dye の名前で販売されています。

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
GC601 GlycoYELLOW™-βGal 50 μg × 10 ¥ 59,800

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    GlycoYELLOW-βGal について

    β-ガラクトシダーゼとの反応により、黄色の蛍光を発する蛍光プローブです。

    GlycoYELLOW-βGal の物性

    名称 検出対象 反応 Absmax (nm) FLmax (nm)
    GlycoYELLOW-βGal β-ガラクトシダーゼ活性 不可逆 525 543

     

    スペクトル

    β-galactosidase 反応前後の GlycoYELLOW-βGal の蛍光スペクトル。37℃、30分間反応させたもの。

  • GlycoYELLOW-βGal による細胞老化イメージング例

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    GlycoYELLOW-βGal による細胞老化イメージング例

    ― 長崎大学原爆後障害医療研究所放射線災害医療学 鈴木啓司先生にご提供頂きました。 ―

    GlycoYELLOW-βGalによるSA-β-gal活性の生体染色

    放射線照射後に持続的に G1 期停止 (Fucciシステムにより確認) を起こした細胞(赤色蛍光の核の細胞)でSA-β-gal活性が亢進しています。 細胞は、放射線照射してから10日目であり、GlycoYELLOW-βGal 添加後24時間までを追跡しています。

     

    正常ヒト甲状腺濾胞細胞の染色例

    正常ヒト甲状腺濾胞細胞に 10Gy の放射線を照射し、10日間培養した後、GlycoYELLOW-βGal (30分間反応)による SA-β-gal 活性を生体染色により検出しました。 この条件では、通常のX-gal を用いた染色法でほぼ 100% の細胞が染色されます。

    一方、わずかながら生存した細胞が増殖した領域(図左下)では染色は認められず、老化様細胞死を起こした細胞で特異的に SA-β-gal 活性を検出していることが確認できます。

     

  • GlycoYELLOW-βGal を用いた β-ガラクトシダーゼ活性のスクリーニング

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    GlycoYELLOW-βGal を用いた β-ガラクトシダーゼ活性のスクリーニング

    はじめに

    β-ガラクトシダーゼ (β-gal) 活性は、汎用的なレポーター遺伝子 (lacZ) や細胞の老化マーカー (SA-β-Gal) として広く使われています。従来の β-gal 測定は、X-gal の呈色反応に基づいた定性的な細胞群の観察であり、単一細胞の解析は困難でした。GlycoYELLOW-βGal は β-gal 存在下で黄色蛍光を発する高感度な蛍光プローブです。生細胞・固定細胞のいずれでも使用可能なので、単一細胞における老化指標マーカーとして、細胞イメージングベースのスクリーニング系を始めとした薬理試験での活用が期待されます。この可能性を検証するため、LacZ 遺伝子導入細胞における β-gal 活性を Operetta™ (パーキンエルマー社) を用いて単一細胞レベルで解析し、比較検討しました。

    ※ 本アプリケーションは五稜化薬(株)とパーキンエルマージャパン(株)との共同開発です。

     

    β-ガラクトシダーゼ発現および非発現細胞 (HEK293 細胞) の固定・反応プロトコル

    1. 細胞培養用の 96 ウェルプレート (Costar flat bottom plate) に poly-L-lysine 溶液を添加し、37℃ で一晩インキュベート。
    2. 96 ウェルプレートを HBSS で2回洗浄。
    3. トリプシン処理した HEK293 細胞を 40 μmのセルストレイナーに通し、凝集している細胞を除去したのち、5 × 104 cell/mL, 200 μL/well で 96 ウェルプレートに播種し、37℃, 5% CO2 条件下で一晩培養しました。
    4. GlycoYELLOW-βGal を終濃度 5 μM になるよう HBSS で希釈し、反応液を作成。更に Hoechist 33342 を 5000 倍希釈にて添加。
    5. HEK293 細胞より培養液を除去し、HBSS で穏やかに1回洗浄。
    6. 洗浄した細胞に反応液 200 μL/well を添加し、37℃, 5% CO2 条件下で 60 分インキュベート。
    7. 染色した細胞を、3% パラホルムアルデヒドで 10~30 分間固定。
    8. 固定した細胞を、HBSS で 1 回洗浄を行い、新しい HBSS に置換。
    9. パーキンエルマー社の Operetta™ にて観察・解析を行いました。(10× long WD lens; ex. 360-400 nm/ em. 410-480 nm for Hoechist 33342; ex. 520-550 nm / em. 560-630 nm for GlycoYELLOW-βGal).

     

    GlycoYELLOW-βGal 染色の画像解析

    次の疑似カラーを重ね合わせたもの(青色: Hoechist 33342 黄色: GlycoYELLOW-βGal)

    HEK LacZ (-) 細胞 (左) に比べ、HEK LacZ (+) 細胞 (右) は、明らかにGlycoYELLOW-βGal 由来の蛍光強度が増加していることが確認できました。

    Operetta™搭載の解析ソフトHarmonyにて画像解析を行った結果
    (左) 画像中の個々の細胞の細胞質における蛍光強度。LacZ (+) 細胞は LacZ (-) 細胞に比べ、平均蛍光強度が7.5倍以上増加しました。
    (右) 細胞数の自動カウント 解析対象の細胞数が十分であることが確認されました。

    製品・サービスへのお問い合わせ

    当ページに掲載している製品・サービスに関し、ご購入希望ならびご興味のある方は、五稜化薬にお問い合わせください。

よくあるご質問

  • Q βガラクトシダーゼ検出試薬はどれを選んだら良いですか?
    A

    GlycoGREEN-βGal, GlycoGREEN-βGal, TokyoGreen-βGal の3種類がありますが、細胞のイメージングに使用する場合は第一選択として GlycoGREEN-βGal を、プレートリーダーアッセイや酵素アッセイに使用する場合は第一選択として TokyoGreen-βGal をおすすめします。

    検出感度は GlycoGREEN-βGal と TokyoGreen-βGal はほぼ同程度で、GlycoYELLOW-βGal より優れています。細胞イメージングには、細胞内滞留性が比較的高い GlycoGREEN-βGal をおすすめします。ただし、GlycoGREEN-βGal も生成された蛍光物質が細胞内にずっと留まるわけではないため、ガラクトシダーゼ活性の高い細胞と低い細胞が混在している条件で活性の低い細胞もよく染色されることもあり、結果の解釈には注意が必要です。

  • Q 固定したサンプルに使用できますか?
    A

    X-gal で染色できる条件であれば、GlycoYELLOW-βGal や GlycoGREEN-βGal によってガラクトシダーゼ活性を検出できると考えられます。

    GlycoYELLOW-βGal の蛍光は固定のみでは消失しないことを確認しております。製品ページに記載の情報も参考にしてください。ただし、長時間の固定やアルコール処理、膜透過処理などによって蛍光の局在や蛍光強度に影響を及ぼすことがありますので、固定条件については事前の検討をお勧めします。

     

  • Q 細胞老化を検出できますか?
    A

    はい、GlycoYELLOW-βGal により細胞老化のマーカーと考えられている SA-βGal 活性を検出した実績があります。

    細胞老化を起こしていない細胞で見られる生理的な β-Gal 活性が気になる場合は、バフィロマイシンA1 によりリソソームのアルカリ化を行うことで、その影響を減らすことができることが知られています。

  • Q Q&A を見ても問題が解決しません
    A

    蛍光色素一般に関する Q&A も参照してください