AcidiFluor™ Series

AcidiFluor™ ORANGE Labeling Kit

[オールインワンタイプの標識用キット]

[酸性 pH 応答性プローブ]

570-590 nm:橙色

AcidiFluor ORANGE-NHS (succinimidyl ester)  は、タンパク質等のアミノ基に結合する、縮合剤が不要なpHプローブAcidiFluor™ ORANGEです。抗体等のタンパク質だけでなく、末端アミノ化を施したオリゴヌクレオチドへの標識も可能です。

本キットは、AcidiFluor ORANGE-NHSの標識から精製までの一連の作業に必要な試薬、器具 5 回分がセットになっています。 AcidiFluor ORANGE-NHS  1 本には、100 μg の IgG 等タンパク質へのラベル化に最適な量が含まれています。

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
GC304 AcidiFluor™ ORANGE Labeling Kit 5回分 ¥ 69,800

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    AcidiFluor ORANGE Labeling Kit 概要

    AcidiFluor ORANGE-NHS は下図のように、NHS を介してタンパク質のリジン残基等に含まれる1級アミンを標識できます。

    キット内容

    • AcidiFluor ORANGE-NHS× 5
    • Reaction Buffer  1.5 mL × 1
    • Washing Buffer 10 mL × 1
    • 限外ろ過スピンカラム× 5

     

    AcidiFluor ORANGE-NHS の物性

    名称 検出対象 反応 pKa
    Absmax (nm) FLmax (nm) ε Φ
    AcidiFluor ORANGE-NHS pH 可逆 5.3, 6.8 544 565 80,000 0.7

     

    S/N 比が高い

    pH 5 および 7.4 のリン酸緩衝液中 (0.1 M) で、各 pH プローブの NHS 体および BSA 標識体の蛍光強度を比較した。pH 5.0 における AcidiFluor ORANGE-NHS の蛍光強度は pH 7.4 と比較して、約 20 倍に増大した。一方、pHrodo™ Red-NHS  (Life Technology 社) は約 1.8 倍、CypHer™ 5E-NHS  (GE Healthcare) は約 7.5 倍であり、AcidiFluor ORANGE-NHS がより鋭敏に酸性 pH を捉えた。同様に BSA 標識体の測定結果から、標識後の pH 応答性は AcidiFluor ORANGE のみで高く維持されることが示された。

    AcidiFluor™ ORANGE-NHS : λex 532 nm / λem 568 nm
    pHrodo™ Red-NHS (Life Technology社) : λex 560nm / /λem 582 nm
    CypHer™ 5E-NHS (GE Healthcare社) : λex 644 nm / /λem 667 nm

     

    細胞内の箇所を選択し、経時的な蛍光強度をグラフ化した。AcidiFluor™ ORANGE-BSAは、細胞に取り込まれると経時的に蛍光強度が上昇したが、pHrodo-BSA、CypHer5E-BSAは、蛍光強度変化は観察されなかった。

     

    AcidiFluor™ ORANGE-NHS – BSA標識体のHeLa細胞によるエンドサイトーシス観察

  • AcidiFluor ORANGE-NHS および AcidiFluor-ORANGE Zymosan A による細胞イメージング例

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    AcidiFluor ORANGE-NHS および AcidiFluor-ORANGE Zymosan A による細胞イメージング例

     

    A431細胞 (EGFR過剰発現細胞株) による AcidiFluor ORANGE-NHS で標識した anti-EGFR 抗体の取り込み

    anti-EGFR 抗体をAcidiFluor ORANGE-NHS と反応させ、限外ろ過により未反応色素の除去を行った。この AcidiFluor ORANGE 標識した anti-EGFR 抗体を、EGFR が過剰発現している細胞株である A431 細胞に添加し、共焦点顕微鏡にて経時的に観察を行った。抗体添加後 120 分で AcidiFluor ORANGE 由来の蛍光が検出され始め、180 分以降で高い蛍光強度が得られた。この手法により、AcidiFluor ORANGE 標識 anti-EGFR 抗体がエンドサイトーシスにより細胞に取り込まれ、酸性化する様子をとらえることができた。

     

    AcidiFluor ORANGE ZymosanA の RAW264.7 細胞による貪食撮影例

    AcidiFluor ORANGE-ZymosanAを、RAW264.7細胞に添加し、蛍光顕微鏡にて経時的に観察を行った。AcidiFluor ORANGE-ZymosanA を取り込んだ細胞内で、蛍光強度の上昇が見られたことから、小胞の酸性化が示唆された。

よくあるご質問

  • Q pH 3以下での蛍光強度は?
    A

    AcidiFluor ORANGEのpH 3 以下での蛍光強度は、pH 3の強度とほとんど同じことがわかっています。

  • Q 固定細胞に使えますか?
    A

    基本的には固定細胞では使用できません。リソソームやエンドソームの酸性 pH は生きている細胞の活性によって酸性 pH が保たれており、固定により死んだ細胞ではその酸性が維持されなくなるためです。

    ただし、リソソームに局在する AcidiFluor ORANGE、抗体などを標識した AcidiFluor-NHS や  HaloTag に結合した HaloTag AcidiFluor ORANGE ligand の局在を知る目的で、固定後速やかに酸性 pH バッファーに置換して蛍光を確認することは可能と考えられます。

  • Q Q&A を見ても問題が解決しません
    A

    蛍光色素一般に関する Q&A も参照してください

参考文献

A. Hayashi, D. Asanuma, M. Kamiya, Y. Urano, S. Okabe (2016)
Neuropharmacology 100: 66-75 DOI:10.1016/j.neuropharm.2015.07.026

D. Asanuma, Y. Takaoka, S. Namiki, K. Takikawa, M. Kamiya, T. Nagano, Y. Urano, K. Hirose (2014)
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 53: 6085-6089 DOI:10.1002/anie.201402030

M. Isa, D. Asanuma, S. Namiki, K. Kumagai, H. Kojima, T. Okabe, T. Nagano, K. Hirose (2014)
ACS. Chem. Biol. 9: 2237-2241 DOI:10.1021/cb500654q

R. Watanabe, N. Soga, D. Fujita, K. V. Tabata, L. Yamauchi, S. H. Kim, D. Asanuma, M. Kamiya, Y. Urano, H. Suga, H. Noji (2014)
Nat. Commun. 5, Article number: 4519 DOI:10.1038/ncomms5519