AcidiFluor™ Series

AcidiFluor™ ORANGE

[リソソームのライブセルイメージングに]

570-590 nm:橙色

AcidiFluor ORANGEは、酸性環境下で蛍光が大幅に増大する蛍光母核にリソソーム局在性の構造を付加した、リソソーム染色用の蛍光プローブです。細胞外液に添加するだけで、酸性を維持している生細胞のリソソームを明瞭に観察できます。また、輝度および光安定性が高く、明瞭な蛍光を比較的長時間にわたって観察することも可能です。

 

AcidiFluor ORANGEは Merck KGaA (Darmstadt, Germany) からも全世界にて
SCT 019  BioTracker™ 560 Orange Lysosome Dye の名前で販売されています。

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
GC301 AcidiFluor™ ORANGE 10 μg × 20 ¥ 68,000
GC3011 AcidiFluor™ ORANGE 10 μg × 10 ¥ 38,000

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    AcidiFluor ORANGE の物性

    名称 検出対象 反応 pKa
    Absmax (nm) FLmax (nm) ε* Φ**
    AcidiFluor ORANGE pH 可逆 5.1 535 560 N.D. 0.73

    * モル吸光係数 数値なし
    ** 最大量子収率 (pH によって変化する)

    スペクトル

    pH 5.0 および 7.4 の 0.1 M リン酸緩衝液中における AcidiFluor ORANGE の蛍光スペクトル。励起光波長は 532 nm。pH 5 は酸性オルガネラに、pH 7.4 はそれ以外の生理的環境に相当する。pH 5 における 568 nm の蛍光強度は pH 7.4 と比較して、50 倍以上に増大する。

     

    AcidiFluor ORANGE は東京大学大学院医学系研究科神経生物学分野 廣瀬謙造教授のご指導の下、東京大学よりライセンスを受け、五稜化薬株式会社が製品化しました。なお本製品は、JST 先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として開発されました。

  • AcidiFluor ORANGE によるイメージング例

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    マルチカラーイメージング例

    HeLa細胞を用いたマルチカラーイメージング例

    Mitochondria-GFP (緑)を発現させた HeLa 細胞を AcidiFluor ORANGE (オレンジ)および Hoechst 33342 (青)で多重染色して蛍光顕微鏡で観察し、それぞれカッコ内の疑似カラーで重ね合わせた。

     

    褪色性試験における他製品との比較

    180秒間に渡る励起光照射の結果、LysoTracker® Green DND-26、LysoTracker® Red DND-99は顕著に褪色するのに対し、AcidiFluor™ ORANGEの蛍光は維持されていた。また、LysoSensor™ Green DND-189は、励起光照射により蛍光の細胞質への漏れ込みが生じたため、連続観察には適さないと考えられる。

     

  • AcidiFluor ORANGE による脱顆粒現象のイメージング

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    AcidiFluor ORANGE による脱顆粒現象のイメージング

    RBL-2H3細胞(ラット好塩基球性白血病細胞)の脱顆粒現象を可視化

    顆粒は AcidiFluor ORANGE(1 μM in DMEM)で染色し、細胞外液相は膜透過性が低い蛍光色素である Alexa Fluor® 647, carboxylic acid にて可視化した。Ionomycin を用いて脱顆粒を惹起し、共焦点顕微鏡にて観察を行った。その結果、AcidiFluor ORANGEによって染色された顆粒が、脱顆粒に伴って蛍光強度が減少し、同時に細胞外液相である Alexa Fluor® 647, carboxylic acid の蛍光強度が増大した。グラフは矢尻で示した顆粒の蛍光輝度を示したもの。
    このように AcidiFluor ORANGE によって脱顆粒イメージングが可能である。

    動画

     

     

    その他の動画

    AcidiFluor ORANGE で染色した RBL-2H3 細胞(ラット好塩基球性白血病細胞)の脱顆粒イメージング。動画は、微分干渉像との重ねあわせ。Ionomycin を用いて脱顆粒を惹起し、共焦点顕微鏡にて観察を行った。その結果、AcidiFluor ORANGEによって染色された顆粒が、脱顆粒に伴って蛍光強度が減少したことが確認された。

    細胞染色プロトコル

    1. 10 μg AcidiFluor ORANGE が入ったチューブに 13.4 μL の DMSO を加えて色素を溶解し  1 mM DMSO 溶液を作成した。
    2. 1 mM DMSO 溶液を培地に希釈し、終濃度 1 μM 染色液を作成した。
    3. 細胞を培養している容器から液体培地を除去し、培地で2 回洗浄を行った。
    4. 培養容器に染色液を入れ、 37℃、5% CO2 条件下で 2 時間培養した。
    5. 染色後、培地で 1回、HBSSバッファーで 2回洗浄を行った後 HBSS バッファーに置換し、蛍光観察を行った。

よくあるご質問

  • Q pH 3以下での蛍光強度は?
    A

    AcidiFluor ORANGEのpH 3 以下での蛍光強度は、pH 3の強度とほとんど同じことがわかっています。

  • Q 固定細胞に使えますか?
    A

    基本的には固定細胞では使用できません。リソソームやエンドソームの酸性 pH は生きている細胞の活性によって酸性 pH が保たれており、固定により死んだ細胞ではその酸性が維持されなくなるためです。

    ただし、リソソームに局在する AcidiFluor ORANGE、抗体などを標識した AcidiFluor-NHS や  HaloTag に結合した HaloTag AcidiFluor ORANGE ligand の局在を知る目的で、固定後速やかに酸性 pH バッファーに置換して蛍光を確認することは可能と考えられます。

  • Q Q&A を見ても問題が解決しません
    A

    蛍光色素一般に関する Q&A も参照してください