GlycoFluor™ Series

GlycoGREEN™-βGal

[β-ガラクトシダーゼ活性検出用蛍光基質]

495-540 nm:緑色

GlycoGREEN-βGal は β-ガラクトシダーゼ活性を蛍光で検出するための蛍光プローブです。最初は蛍光のない物質ですが、ガラクトシダーゼと反応して緑の蛍光物質を生成する蛍光基質です。膜透過性がありますが、反応後は細胞内の構造と弱く相互作用するため、細胞内に留まりやすくなります。また、毒性が極めて低いことから細胞機能への影響を最小限にしながら、生細胞のガラクトシダーゼ活性のイメージングに最適です。

遺伝子発現レポーターとしての lacZ の発現解析や、がん細胞マーカーとしての β-ガラクトシダーゼ活性の検出、また細胞老化によって上昇する β-ガラクトシダーゼ活性 (SA-β-gal)  の検出などにご利用いただけます。

 

GlycoGREEN-βGal は Merck KGaA (Darmstadt, Germany) からも全世界にて
SCT025 BioTracker™ 519 Green β-Gal Dye の名前で販売されています。

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
GC611 GlycoGREEN™-βGal 30 nmol × 5 ¥ 39,800

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    GlycoGREEN-βGal の検出原理

    GlycoGREEN-βGal は β-ガラクトシダーゼの蛍光基質です。もともとほとんど蛍光のない試薬ですが、酵素との反応により強い緑の蛍光を発します。生成した蛍光色素は細胞内の構造と弱く相互作用し、細胞外に流れ出しにくくなるため、細胞イメージングに適しています。反応は迅速なため、試薬添加後すぐのイメージングも可能です。例えば lacZ 強発現細胞の場合は、試薬添加後 15 分で十分な蛍光が観察されます。

     

    GlycoGREEN-βGal の物性

    製品名
    検出対象 反応 Absmax (nm) FLmax (nm) ε Φ
    GlycoGREEN-βGal β-galactosidase活性 非可逆 497 519 n.d. 0.78

    スペクトル

     

    低い細胞毒性

    通常使用濃度では細胞毒性はほとんど検出されず、細胞機能への影響はほとんどないと考えられます。加えて、反応前の非特異的蛍光が少なく、β-ガラクトシダーゼ反応後は強い蛍光を示すことから、高いコントラストでのライブセルイメージングに適しています。

    生細胞に GlycoGREEN-βGal を作用させたときの蛍光イメージおよび細胞障害性 (左)LacZ 遺伝子を発現した HEK293 細胞と、発現していない HEK293 細胞を 1 μM の GlycoGREEN-βGal および他社製品 S で 37℃ 15 分間反応させ、同一の照明・露光条件で蛍光顕微鏡観察したもの。高いコントラストの像が得られる。(右)卵巣がん由来の OVCAR5 細胞に終濃度 0, 0.1, 1, 10, 100 μM の GlycoGREEN-βGal を添加し、37℃ 5% CO条件下で 24 時間インキュベートした後、MTT アッセイにより細胞の代謝活性を測定したもの。通常使用濃度の 10 倍以上でも、細胞への障害性はほとんど検出されない。

     

    迅速かつ高感度な検出

    GlycoGREEN-βGal は β-ガラクトシダーゼにより迅速に分解され、反応前の 100 倍以上の蛍光を発します。そのため lacZ 高発現細胞では細胞に投与してから 15 分程度で充分強い蛍光を観察することができます。
    ※ β-ガラクトシダーゼの発現量によっては、長時間のインキュベーションが必要になることがあります。

    β-ガラクトシダーゼと GlycoGREEN-βGal の反応曲線  GlycoGREEN-βGal (最終濃度10 μM, コソルベントとして0.1 % DMSO) を溶解したリン酸バッファー (0.1 M, pH 7.4) に、β-ガラクトシダーゼ (5 unit/mL) を加え 37℃ でインキュベートしたもの。数分程度で十分な蛍光が観察されます。

  • GlycoGREEN-βGal の応用例

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    GlycoGREEN-βGal の応用例

    固定細胞での反応例

    (左)染色後固定は、LacZ を発現した (LacZ+) または非発現 (LacZ-) の HEK293 細胞を用いて、 1 μM の GlycoGREEN-βGal (上段) または他社製品 S(下段)と 15 分間反応させたのち、3 % パラホルムアルデヒドを含む PBS  で 15 分間固定してから、蛍光顕微鏡で観察したもの。

    (右)固定後染色は、細胞を 3 % パラホルムアルデヒドを含む PBS で 15 分間固定したのち、1 μM の各試薬と 15 分間反応させ、試薬を洗浄してから観察した。それぞれの固定条件ごとに、同一の照明・露光条件で蛍光顕微鏡観察した

    固定前の反応だけでなく、固定後でも LacZ 発現を蛍光で検出することができます。ただし、より長時間の固定では酵素活性が低下するため、反応時間を延長する必要があるなど、検討が必要です。また、繰り返しの洗浄や抗体染色のための膜透過処理を行うと蛍光が減弱するおそれがあります。

     

    フローサイトメーターによる測定例

    (黒) LacZ- の HEK293 細胞のみ (オレンジ)  3 μM のAcidiFluor ORANGE (GC301) と 18 時間反応させた LacZ- HEK293 細胞を更に 1 μM の GlycoGREEN-βGal と 1時間反応させたもの  (緑) LacZ+ HEK293 細胞を 1 μM の GlycoGREEN-βGal と 1 時間反応させたもの、それぞれを PBS で洗ったのち、フローサイトメーター (BD FACSVerse) で細胞ごとの蛍光強度を解析したもの。(図は3つのデータをoverlayしています)

    生成した蛍光色素が漏れ出して、β-ガラクトシダーゼ活性が低い細胞に移動することがあるため、フローサイトメーターによる解析では、1種類ずつの蛍光強度の解析が必要です。ヘテロな細胞群を混合した状態で解析したり、セルソーティングなどには適しません。ご注意ください。

よくあるご質問

  • Q βガラクトシダーゼ検出試薬はどれを選んだら良いですか?
    A

    GlycoGREEN-βGal, GlycoGREEN-βGal, TokyoGreen-βGal の3種類がありますが、細胞のイメージングに使用する場合は第一選択として GlycoGREEN-βGal を、プレートリーダーアッセイや酵素アッセイに使用する場合は第一選択として TokyoGreen-βGal をおすすめします。

    検出感度は GlycoGREEN-βGal と TokyoGreen-βGal はほぼ同程度で、GlycoYELLOW-βGal より優れています。細胞イメージングには、細胞内滞留性が比較的高い GlycoGREEN-βGal をおすすめします。ただし、GlycoGREEN-βGal も生成された蛍光物質が細胞内にずっと留まるわけではないため、ガラクトシダーゼ活性の高い細胞と低い細胞が混在している条件で活性の低い細胞もよく染色されることもあり、結果の解釈には注意が必要です。

  • Q 固定したサンプルに使用できますか?
    A

    X-gal で染色できる条件であれば、GlycoYELLOW-βGal や GlycoGREEN-βGal によってガラクトシダーゼ活性を検出できると考えられます。

    GlycoYELLOW-βGal の蛍光は固定のみでは消失しないことを確認しております。製品ページに記載の情報も参考にしてください。ただし、長時間の固定やアルコール処理、膜透過処理などによって蛍光の局在や蛍光強度に影響を及ぼすことがありますので、固定条件については事前の検討をお勧めします。

     

  • Q 細胞老化を検出できますか?
    A

    はい、GlycoYELLOW-βGal により細胞老化のマーカーと考えられている SA-βGal 活性を検出した実績があります。

    細胞老化を起こしていない細胞で見られる生理的な β-Gal 活性が気になる場合は、バフィロマイシンA1 によりリソソームのアルカリ化を行うことで、その影響を減らすことができることが知られています。

  • Q Q&A を見ても問題が解決しません
    A

    蛍光色素一般に関する Q&A も参照してください