SaraFluor™ Series

SaraFluor™ 720

[標識用近赤外蛍光色素]

750 nm<:近赤外

SaraFluor は明るい標識用蛍光色素です。特に、SaraFluor 650, 700, 720 はシリコンローダミン (silicone rhodamine) およびその類縁体で、明るさ、褪色性能などの点で優れた性質を持っています。
混合するだけで1級アミンと共有結合を形成する NHS体 (N-hydroxysuccinimide ester) は抗体や高分子の標識等に広く使用されます。チオール (R-SH) と反応して共有結合を形成する maleimide 体は、タンパク質のシステイン残基特異的な標識等に使用されます。その他、カルボキシル基 (-COOH) を持つ色素は、クロスリンカーを用いた標識や、化学合成の原料として使用されます。

SaraFluor はアイヌ語で「見えるようになる」「明るく開けた葦原」などの意味の sara という言葉に由来する造語です。

価格

型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
ST1011-10 SaraFluor™ 720-NHS 5 nmol x 5 ¥ 35,000
ST1011-11 SaraFluor™ 720-NHS 1 mg ¥ 49,800
ST1011-15 SaraFluor™ 720-NHS 1 mg x 5 ¥ 221,000
ST1011-21 SaraFluor™ 720-maleimide 1 mg ¥ 49,800
ST1011-25 SaraFluor™ 720-maleimide 1 mg x 5 ¥ 221,000
ST1011-31 SaraFluor™ 720-COOH 1 mg ¥ 44,800
ST1011-35 SaraFluor™ 720-COOH 1 mg x 5 ¥ 199,000
AR6111-N5K SaraFluor™ 720 Labeling Kit 5 回分 ¥ 69,800

各種ダウンロード

  • SaraFluor-NHS プロトコル

  • SaraFluor-maleimide プロトコル

  • SaraFluor Labeling Kit プロトコル

  • チラシ

  • ST1011-10,11,15 SDS

  • ST1011-21,25 SDS

  • ST1011-31,35 SDS

  • PBS SDS

  • DMSO SDS

  • 0.1 M NaHCO3 SDS

  • 製品情報

    印刷する

    SaraFluor シリーズの物性

    名称 Absmax (nm) FLmax (nm) ε (M-1 cm-1) Φ 同波長帯の類似色素
    SaraFluor 488 494 514 0.82 × 105 0.91 FITC,  Alexa Fluor 488, ATTO 488
    SaraFluor 600 597 607 1.3 × 105 0.48 Cy3.5, Texas Red, Alexa Fluor 594
    SaraFluor 650 646 660 1.1 × 105 0.31 Cy5, Alexa Fluor 647, ATTO 647N
    SaraFluor 700 691 712 1.0 × 105 0.12 Cy5.5, Alexa Fluor 700, ATTO 700
    SaraFluor 720 721 740 1.6 × 105 0.05 Cy7, DY-730, ATTO 725

    スペクトル

     

    光安定性

    SaraFluor 650 または比較対象の蛍光色素で標識した蛍光2次抗体を用いて染色した固定細胞を、蛍光顕微鏡で観察したもの。励起光強度、蛍光フィルター、カメラの露光時間やゲインなどの撮影条件を全て同一にし、蛍光が減衰する様子を連続的に撮影した。

  • SaraFluor シリーズを用いたイメージング例

    印刷する

    SaraFluor シリーズを用いたイメージング例

    SaraFluor 488-NHS イメージング例

    OVCAR5 細胞を固定し、1% Triton-X100 で膜透過処理後に rabbit anti-α/β tubulin antibody (#2148, Cell Signaling Technology 1/50) と反応後に SaraFluor 488-NHS で標識した goat anti-rabbit antibody (0.4 μg/mL, 標識率 1.8) と反応させた。 また Hoechist 33342 で核染色を行い、蛍光顕微鏡で観察した。(緑が SaraFluor 488 の蛍光、青が Hoechist 33342 の蛍光の重ね合わせ)

     

    SaraFluor 600-NHS および 700-NHS によるマルチカラーイメージング例

    HeLa 細胞を固定し、1% Triton-X100 で膜透過処理し、rabbit anti-COX IV antibody (3E11, Cell Signaling Technology 1/500) と反応後に SaraFluor 600-NHS で標識した goat anti-rabbit antibody と反応させた。また rat anti-tubulin antibody (YL 1/2, Novus Biologicals, 1/1000) および SaraFluor 700-NHS で標識した goat anti-rat antibody と反応させた。 核は Hoechist 33342 で染色し、蛍光顕微鏡で観察した。(赤が SaraFluor 600 の蛍光、水色が SaraFluor 700 の蛍光、青が Hoechist 33342 の蛍光の重ね合わせ)

    SaraFluor 488-NHS および 650-NHS によるマルチカラーイメージング例

    HeLa 細胞を固定し、1% Triton-X100 で膜透過処理し、rabbit anti-COX IV antibody (3E11, Cell Signaling Technology 1/500) と反応後に SaraFluor 650-NHS で標識した goat anti-rabbit antibody と反応させた。また mouse anti-α-tubulin antibody (DM1A) および SaraFluor 488-NHS で標識した goat anti-rat antibody と反応させた。 核は Hoechist 33342 で染色し、蛍光顕微鏡で観察した。(緑が SaraFluor 488 の蛍光、赤が SaraFluor 650 の蛍光、青が Hoechist 33342 の蛍光の重ね合わせ)

     

    SaraFluor 720-NHS によるイメージング例

    HeLa 細胞を固定し、1% Triton-X100 で膜透過処理し、rat anti-tubulin antibody (YL 1/2, Novus Biologicals, 1/1000) と反応後に SaraFluor 720-NHS で標識した goat anti-rat antibody と反応させ、蛍光顕微鏡で観察した。

     

よくあるご質問

  • Q 0.1 M sodium bicarbonate buffer の作り方を教えてください。またこのバッファーを使う理由は?
    A

    炭酸水素ナトリウム (NaHCO3) を 0.1 M になるように純水に溶解してください。およそ pH 8.0から8.4 程度になるはずですのでそのままお使いください。pH が外れている場合は、Na2CO3 や HCl などで微調整していただいても構いません。

    NHS エステルと1級アミンの反応は pH 8.0から 8.6 付近で効率よく進行します。そのため、Tris buffer などのアミノ基を含むバッファー以外であれば、HEPES, リン酸バッファー、ホウ酸バッファーなども同様に使用可能です。

  • Q タンパク質の 280 nm での分子吸光係数はどのように調べたらよいですか?
    A

    タンパク質の 280 nm での吸光度は、Gill and von Hippel (1989) Analytical Biochemistry, 182: 319-326 や Anthis and Clore (2013) Protein Science 22:851-858 などの方法で求めることができます。以下のような Web サイトでも計算サービスが提供されているようですが、ご利用にあたってはそれぞれのサイトの利用条件などの説明に従ってください。

    http://protcalc.sourceforge.net/
    http://web.expasy.org/protparam/
    http://nickanthis.com/tools/a205.html

  • Q NHS 体を使い効率よく標識する方法を教えてください
    A

    標識する抗体等、タンパク質はできるだけ精製されたものを使用してください。未精製のタンパク質に標識したい場合は、アフィニティカラム、限外ろ過やゲルろ過などで夾雑物を除いた後に標識を行うと効率が上がります。また、トリスバッファーはアミノ基を含むため、このバッファー中での NHS による標識は行うことができません。脱塩カラム、ゲルろ過カラム、透析などでトリスバッファーをリン酸緩衝液または Good buffer (PIPES, HEPES 等) などアミノ基を含まないバッファーに置換した上での標識が必要です。

    また、タンパク質や条件によっても異なりますが、 37℃ で 30分から 1 時間反応させるよりも、4℃ で一晩反応させるほうが標識率が上がることが多くあります。

  • Q SaraFluor 488/600/650/700/720 の特徴を教えてください
    A

    SaraFluor 488 および 600 はフルオレセイン (fluorescein) の骨格構造を元に改良された蛍光色素です。SaraFluor 488 はフルオレセインや同波長帯の他社製の代表的な色素より輝度が高く、pH 安定性も改良されています。酸性では蛍光が弱く、およそ pH 8 以上で 最大輝度となるフルオレセインに対し、SaraFluor 488 はおよそ pH 6 以上で安定した最大の蛍光強度を示します。SaraFluor 600 も、Texas Red より明るく、他社の代表的な色素に匹敵する明るさを示し、pH 6 以上で安定な蛍光を示します。ただし、SaraFluor 488 および SaraFluor 600 の光退色特性はそれほど優れていないため、必要に応じて退色防止剤などの使用をご検討ください。

    SaraFluor 650, 700, 720 はシリコンローダミン (silicone rhodamine, SiR) 骨格を持つ蛍光色素です。Cy5 を始めとする同波長帯の代表的な色素に対して、蛍光輝度は劣りますが、ほぼ pH に依存しない蛍光強度を示し、光安定性に優れています。光退色が遅いため、比較的長時間にわたる安定したイメージングが可能です。

    いずれの色素にも、水溶性を高めるためのスルホ基 (-SOOH) の導入を行っていません。やや疎水性の高い色素が必要な場合、または強い負電荷がある他社製の色素で不具合がある場合の代替としてご利用頂ける場合があります。

  • Q Q&A を見ても問題が解決しません
    A

    蛍光色素一般に関する Q&A も参照してください