MetalloFluor™ Series

CopperGREEN™

[銅 (I) イオン検出用蛍光プローブ]

495-540 nm:緑色

銅はチトクローム c や superoxide dismutase (SOD)などの酵素活性に必要な生体中の微量元素であることが知られています。CopperGREEN は、このような銅イオンの中でも、細胞中の還元環境下の Cu+ イオンを緑色の蛍光として特異的に検出することができる蛍光プローブです。

 

CopperGREENは Merck KGaA (Darmstadt, Germany) からも全世界にて
SCT 041  BioTracker™ Green Copper Dye  の名前で販売されています。

 

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型番 製品名 容量 希望小売価格(税抜価格)
GC902 CopperGREEN™ 50 nmol × 5 ¥ 49,800

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    CopperGREEN の反応原理

    CopperGREEN はほとんど無色、無蛍光の物質ですが、Cu+ イオンをキレートしたのちに分解・酸化され、緑色の蛍光物質(Exmax~480 nm Emmax = 510 nm)に非可逆的に変化します。生体中の微量金属の中でも還元された銅イオン(Cu+)のみと反応し、 Cu2+ イオンやマンガン (Mn2+)、コバルト (Co2+)、ニッケル (Ni2+)、鉄 (Fe+, Fe2+)、亜鉛 (Zn2+) の各イオンでは蛍光強度は増加しません

     

    蛍光スペクトルおよび反応特性

    名称 検出対象 反応 Absmax (nm) FLmax (nm)
    CopperGREEN Cu+ 不可逆 ~480 510

     

    Cu+ との反応により、510 nm を最大とする蛍光強度が反応前より 100 倍以上増大します(図左)。CopperGREEN は Cu+ とほぼモル比 1:1 で反応し、およそ 90 分で反応はほぼ飽和に達します(図右)。

     

    • (左)5 μM CopperGREENと Cu+ の反応前、反応後の蛍光スペクトル。100 μM [CuI(CH3CN)4]PF6 , 50 mM HEPESバッファー (pH 7.2), 2 mM glutathione, コソルベントとして 0.5 % DMSO を含む溶液中で37℃、2 時間反応させたもの。
    • (右上) [CuI(CH3CN)4]PF6 濃度に応じた 1 μM CopperGREEN の蛍光強度変化。励起波長 470 nm、測定波長 510 nm の蛍光強度を蛍光マイクロプレートリーダーで計測。50 mM HEPES バッファー (pH 7.2), 2 mM グルタチオンとコソルベントとして0.1 % DMSOを含む溶液で測定。
    • (右下)1 μM CopperGREENと 100 μM [CuI(CH3CN)4]PF6 との反応の時間経過。励起波長 470 nm、測定波長 510 nm の蛍光強度を蛍光分光蛍光光度計で測定。

    反応特異性

    生体中に存在する様々な金属イオンのなかで、Cu+ (銅 (I) イオン)存在下のみで、明らかな蛍光増加が観察されます。その他のイオンや活性酸素種では蛍光増加はほとんど観察されません。

     

    • 1 μM CopperGREEN を溶解したHEPESバッファー (0.05 M, pH 7.2, コソルベントとして0.1 % DMSOを含む)に、各金属イオン(20 μM)と2 mM グルタチオン、または下記の活性酸素種生成系を添加。37℃で120分反応後に蛍光強度を測定。ただし、CuII はグルタチオンを含まない。
    • 励起波長 470 nm、測定波長 510 nm の蛍光強度を計測した。
    活性酸素種生成条件
    • H2O2: 300 µM H2O2
    • OCl: 300 µM NaOCl
    • OH: 20 µM Fe(ClO4)2, 200 µM H2O2
    • none: 0.05 M HEPES buffer (pH 7.2) as a control.
  • CopperGREEN 細胞のイメージング例

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    CopperGreen を用いた細胞イメージング例

    写真は微分干渉像にCopperGREEN の蛍光シグナル(緑)を重ね合わせたもの。200 μMの CuCl2 を含む DMEM(+8% FBS, P.S.)中で一晩培養して銅を取り込ませたHeLa 細胞を 200 μM EDTA を含む PBS で洗浄して細胞外の銅イオンを取り除き、5 μM CopperGREEN を含む培地で3時間染色しました。
    ライソソーム中での CopperGREEN の分解を防ぎ、より高いコントラストを得るために、染色30分前から染色中は培地に 10 mM NH4Clまたは 100 nM bafilomycin A1の添加をお勧めします。(上記写真では、10 mM NH4Cl を添加しています。)また、観察時は HBSS などフェノールレッドを含まないバッファーに置き換える必要があります。蛍光観察には GFP 用などの一般的な B 励起フィルターが使用できます。

参考文献

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M. Taki, S. Iyoshi, A. Ojida, I. Hamachi, Y. Yamamoto (2010)
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