フェロトーシスのライブセルイメージング例

フェロトーシスのライブセルイメージング例
ー フェロトーシス刺激により発生する細胞内 ROS の量的変化を検出 ー
ー HYDROP と OxiORANGE の共染色によりそれぞれの ROS を ー
ー FerroOrangeとの共染色により細胞内 Fe2+ の変化も同時にイメージング ー

概要

フェロトーシスは細胞内の遊離鉄 (Fe2+) 依存的な細胞死で、アポトーシスやネクローシスとも異なる経路で細胞死に至ることが明らかになっております。過剰な Fe2+ により発生した ROS(活性酸素種)は酸化ストレスとなり、脂質過酸化などを引き起こします。種々の神経変性疾患の神経細胞死はフェロトーシスであることや、がん細胞はフェロトーシス抵抗性であることが明らかになってきており、注目が集まっています。OxiORANGE, HYDROP, APF は、フェロトーシスの過程で発生する ROS を検出します。本アプリケーションでは、遊離鉄 (Fe2+) を特異的に検出することができる FerroOrange を同時に用いることでフェロトーシスの過程で生じる細胞内 Fe2+ の上昇も検出しています。

実験プロトコル

  1. 3.5 cm ガラスボトムディッシュに 2 × 105 個の HT-1080 細胞を播種し、ディッシュに細胞を接着させます。
  2. 培養上清に終濃度が 30 µM となるように Erastin を加え、37℃ で5% CO2 で3, 6, 9 時間インキュベートします。
  3. 観察の 30 分前(Erastin刺激後2.5, 5.5, 8.5 時間)にOxiORANGE の 1 mM ストック溶液および 1 mM HYDROP 溶液を 培養上清に終濃度 1 µM OxiORANGE および 1 µM HYDROP なるように加えます。
  4. 培養容器に染色液を加え、37℃ 5% CO2 で 30 分インキュベートします。
  5. 染色した細胞を HBSSで 2 回洗浄し、新しい HBSS に置き換え、観察します。
    ※細胞等により適切な色素濃度および反応時間が異なるため、条件検討を行ってください。また、Erastinの濃度や反応時間に関しても細胞種や細胞密度などによって異なるため、あらかじめ条件検討を行ってください。
    ※細胞がディッシュからはがれやすい場合は、 poly-L-lysine などをあらかじめコーティングしてから細胞を播種してください。
    ※これらのプローブは不可逆的な反応により強蛍光体を生じます。反応後にターゲット分子の量が減少しても蛍光強度が維持されるため、経時的な変化(特に蛍光強度の減少)の追跡には適しておりません。本アプリケーションでは、観察時間毎にウェルを用意し、各タイムポイントの 30 分前にプローブを加えて検討を行いました。


図1.Erastin 刺激後の HT-1080 細胞における HYDROP および OxiORANGE の蛍光の変化

HT-1080 細胞を 30 µM Erastinで刺激し、その 3, 6, 9 時間後 (3 hr, 6 hr, 9 hr) の細胞内のROS の発生について HYDROP および OxiORANGE を用いて検討しました。30 µM Erastin を投与し、37℃ CO2 incubator 内で3, 6, 9 時間インキュベートさせた後、それぞれの終了 30 分前(Erastin 刺激後 2.5, 5.5, 8.5 時間)に 終濃度1 µM HYDROP および 1 µM OxiORANGE となるように培養上清に加え、さらに 37℃ CO2 incubator 内で約 30 分間作用させました。そして、HBSS で 2 回洗浄して観察しました。その結果、ヒドロキシラジカル (·OH) と次亜塩素酸 (HClO) を認識する OxiORANGE(疑似カラー:マゼンダ)および H2O2 を認識する HYDROP(疑似カラー:緑)は、Erastin 刺激後 6 時間で蛍光強度がピークに達し、その後減少していました。スケールバーは、100 µm。


図2. 本実験のタイムスケジュール。3 時間ごとにずらして Erastin を投与しました。最初の Erastin 投与から 8.5 時間後に OxiORANGE および HYDROP を投与しました。その後、プローブと 30 分間反応させました。洗浄、染色は、全てのサンプルで同時に行いました。

同様の系で APF と Fe2+ 特異的検出試薬 FerroOrangeを使用した結果は以下となります。

FerroOrangeについてはこちらをご覧ください。


図3. Erastin 刺激後の HT-1080 細胞における FerroOrange および APF の蛍光の変化

HT-1080 細胞を 30 µM Erastinで刺激し、その 3, 6, 9 時間後の細胞内の Fe2+ と ROS の発生についてFerroOrange および APF を用いて検討しました。30 µM Erastin を投与し、37℃ CO2 incubator 内でインキュベートさせた後、それぞれの 30 分前(Erastin 刺激後 2.5, 5.5, 8.5 時間)に HBSS で一度洗浄しました。その後、1 µM FerroOrangeおよび 5 µM APF を含む HBSS を 37℃ CO2 incubator 内で約 30 分間作用させました。そして、HBSS で 2 回洗浄して観察しました。その結果、Fe2+ を検出する FerroOrange(疑似カラー:マゼンダ)は Erastin 刺激後 3 時間をピークに蛍光強度が上昇し、その後減少していました。一方、ヒドロキシラジカル (·OH)、次亜塩素酸 (HClO)、およびパーオキシナイトライト (ONOO) を認識するAPF(疑似カラー:緑)は、Erastin 刺激後 6 時間で蛍光強度がピークに達し、その後減少していました。スケールバーは、100 µm。

図3 の詳しいプロトコルについてはこちらをご覧ください。

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