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蛍光観察一般に関するQ&A

FAQ1. 蛍光プローブを細胞に添加するとき HBSS などの緩衝液の代わりに細胞培養培地で希釈しても良いですか?
ほとんどの場合問題ありません。
特に ROS 検出用プローブの場合、細胞によっては飢餓状態で ROS が増加する場合がありますので、 HBSS などの緩衝液ではなく、細胞培養用培地に蛍光プローブを添加する方が良い場合もあります。ただ、製品によっては培地中の成分が検出に影響を及ぼす場合がありますので、取扱説明書や文献の情報に従ってください。
FAQ2. 蛍光プローブを投与した細胞を蛍光顕微鏡で観察する前に、溶液交換は必要ですか?
目的の物質と反応する前はほとんど蛍光を発しない高性能の蛍光プローブの場合、必ずしも観察の前の溶液交換は必要ありません。培地中に未反応で無蛍光のプローブが存在した状態でシグナルのみを検出できます。ただし、細胞培養用培地中で蛍光プローブを投与した場合、培地に含まれる蛍光物質を除去するために溶液交換が必要になる場合もあります。特にフェノールレッドを含んだ細胞培養用培地は蛍光を発するため、蛍光観察を妨げることがあります(下図参照)。この場合、フェノールレッド不含の培地を使用することで溶液交換せずに観察できます。これらの溶液条件については、目的の細胞や培地に合わせて予備実験を行った上で決定されることをお勧めします。

Fluorescence of DMEM

それぞれの波長(スリット幅 20 nm)で励起したときのDMEM 培地の蛍光スペクトル。青色光で励起したときに、緑から赤の蛍光が観察されます。

FAQ3. 蛍光顕微鏡観察にどのようなディッシュ・プレート・容器を用いれば良いですか?
一般的な生物用の顕微鏡レンズは、厚さ 0.17 mm のカバーガラスの光学特性を想定して設計されています。(一部のレンズには、ガラスの厚み誤差を補正するための補正環がついているものもあります。)そのため、一般的な倒立型の蛍光顕微鏡を用いる場合は、No.1 または No. 1s と呼ばれるカバーガラス、または同等のガラスを使用するのが適しています。

培養細胞を蛍光顕微鏡観察する場合、細胞培養用のプラスチック製のプレートの底の中央部がカバーガラスと同様のガラスでできている「ガラスボトムディッシュ」を用いるのが一般的です。同様にガラスボトムのマルチウェルプレートなども使用可能です。使用される場合は、顕微鏡にそれらのプレートなどが設置できるアタッチメントがあることもご確認ください。

ガラスボトムディッシュ

近年ではプラスチックでもガラスと同じ屈折率、光学的な均質さを実現した顕微鏡観察用のプラスチックボトムのディッシュやマルチウェルプレートも販売されています。これらの素材はガラスと同様に自家蛍光が少なく、蛍光観察が可能になっています。

一方、一般に細胞培養などに使用される培養用ディッシュ(培養皿)やフラスコには自家蛍光があったり、または光学的に均質でない素材からできているものなどがあるため、ほとんどの場合、蛍光顕微鏡での観察に適しません。ご注意ください。
FAQ4. 固定細胞やパラフィン切片で使用できますか?
アクティベイタブル型の蛍光プローブをパラフィン切片で使用することは、一般的にはできないと考えてください。(STELLA™ Fluorで標識した蛍光2次抗体はアクティベイタブル型の蛍光プローブではないため使用可能です。)

また、固定細胞での使用も注意が必要です。アクティベイタブル蛍光プローブは、多くの場合、細胞内のイオンや活性酸素などと反応しますが、これらの局在や濃度などは、生きている細胞の活性によって保たれています。これらが固定後にも保たれているかどうかは観察の目的や固定の方法によって異なります。また、細胞の酵素活性を検出するタイプの蛍光プローブでは、固定により、酵素活性が低下または消失することが多いため、固定条件について十分な検討が必要になります。

生細胞での反応後に軽く固定する場合は、蛍光が保たれやすくなりますが、アルコールなどにより膜透過処理を行うと、蛍光強度の低下や細胞内での局在に大きく影響することが多くなります。

一般的には、まず生細胞と固定細胞で結果を比較し、固定による反応性や蛍光強度の低下やアーティファクトについての予備検討後に実験にご使用ください。
FAQ5. 蛍光プローブを最初に溶解するための有機溶媒について教えてください。
各製品のプロトコル推奨の溶媒を使用してください。多くの蛍光プローブは、最初に dimethyl sulfoxide (DMSO) または N,N-dimethylformamide (DMF)に溶解してからバッファー溶液などの水溶液で希釈します。水溶性が高くない物質は、ミリモルオーダーの水溶液を作るのが難しかったり、最初に有機溶媒に溶かしたほうが安定した水溶液を作成できるためです。

一級アミンと反応するNHS は水溶液中で分解やすいため、まずは脱水した DMSO に溶解してから、pH 8.4 前後の溶液に溶かしたタンパク質などとすみやかに混合しながら反応させてください。脱水 DMSO は試薬として販売されているほか、高温、減圧条件で乾燥させたモレキュラーシーブス 3A を添加して脱水することもできます。

有機溶媒は一般に長期間保存すると空気中の水分を吸ったり、酸化や紫外線の影響などで品質が低下します。品質が低下した溶媒を用いると、蛍光のバックグラウンドが上昇したり、反応性が低下することがあります。DMSO の場合はできるだけグレードの高いものを開封後すぐに分注して超低温フリーザーで保管すると比較的長く品質を保つことができるようです。この場合、吸湿させないために分注はなるだけ乾燥した環境で行い、また開封前に完全に室温に戻すようご注意ください。DMF についても湿気、高温、紫外線を避けて保管し、開封後はできるだけ早くご使用ください。
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